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2012年8月5日(日) 20:47
ところで、オペアンプ増幅後の電圧とシャント直読電流値の同時測定は、前回作業した6月下旬にも行なっている。当時の測定値にも最小二乗法を適用したら、どうなるだろうか?
当時はハードこそ同一だが、室温がかなり異なる。それが、どの程度影響するのか?
問題が2つある。1つは、増幅後電圧を測定するために当時は独立した電圧計を使用したこと。今回は本番用のA/Dコンバーターを、そのまま使用している。もう1つは、有効数字。当時の電圧計は、有効数字が1桁少ない。だから、両者は直接比較できない。
いちおう計算すると、a=0.002018, b=-0.4631 となった。
今回と値は明確に異なるが、リニアリティーは素晴らしい。
ここで、誤差について考察してみる。
シャント抵抗は0.01Ωであり、設計上の増幅率は50倍にしてある。よって1アンペアあたり0.5Vの増幅電位を発生させる。言い換えれば、500mV
が1Aに相当する。よって、a=0.002 である。
増幅率を決めるのは、オペアンプに外付けの金属被覆抵抗で、1KΩと20Ωを使用している。誤差は1%以内。2つの抵抗で逆方向に誤差が発生すると、最大約2%のズレが発生する可能性がある。
6月の a=0.002018 は理論値の a=0.002 から1%以内のズレであるから、完全に想定内である。それに対し、今回の
a=0.001924 は4%近いズレであり、異常だ。中間的な電流でのズレも、大きい。ただし、ズレ過ぎで誤差が大き過ぎるものの、一次方程式での近似が疑問視されるようなとんでもない狂い方ではない。回路に致命的な欠陥が存在する可能性は低い。
また、a=0.002018 と a=0.001924 という両者の比較だと更に差が大きい。ハードは同一であり、室温ぐらいしか違いはない。使用した金属被覆抵抗の温度係数は50ppmしかないので、温度の違いからこのようなズレが生じたとは考え難い。測定に使用した電圧計の内部回路が原因かもしれない。しかし更にありそうなのは、
a だの b だのはあくまで最小二乗法で求めた値に過ぎず、真実とは限らないということだ。
シャント電位差は小さく、精密電圧計をもってしても有効数字が確保できない。増幅後の電圧には、かなりのノイズが乗る。このような状態で、10個単位の測定データを元に
a の誤差を騒いでも仕方あるまい。
理論通りに a=0.002 ジャストとして計算しても、今回のデータは b=-0.23 ぐらいで良く一致する。電流が小さい場合のズレは増大するが、その領域は重要ではない。
written by higashino [ファイバーレーザー] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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