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2015年10月18日(日) 18:56
出力光センサーは位置を確定させる必要があるが、かなり精神的に疲れる。気分転換として、先に共振器筐体の製作を少し進めておこう。
共振器筐体の主役は、アクティブファイバーのヒートシンクである。中でも最高に厄介なのが、パッシブファイバーとアクティブファイバーの融着部分だ。ここには、ファイバーレーザーの放熱における厄介事が全員集合している。
まず、融着部からの漏洩光は、通常に存在する。
次に、クラッドを励起LD光が通過しているため、被覆を除去した部分に付着物は厳禁である。励起LD出力を試験した時のように、たちまち光ファイバーが炎上してしまう。熱伝導グリスでも付着したら、一巻の終わりだ。
更に、アクティブファイバーのコアは励起LD光を吸収し、発熱する。融着が完全で、被覆除去部がクリーンであっても、AFは発熱する。そのためのヒートシンクだが、AFの被覆除去部分が大問題。
通常の発熱は、AFの被覆を熱伝導してヒートシンクへと流れて行く。しかし、被覆の無い部分は熱伝導し難い空気層が挟まる。熱伝導し易くて、屈折率の低い物質を充填すれば良いのだが、そう都合良い物質は見つからない。皆無ではないにしろ、入手が困難過ぎる。
いや、純水という案はすぐに浮かぶのだが、この部分のためだけに水冷を導入するのは大袈裟に過ぎる。せっかく、メンテナンスの楽な完全空冷が可能となっているのに。
そこで次善の策として、AFの被覆除去部分である約1センチの冷却は、諦めることにした。
他と同様に、空気層を残してアルミで覆う。これにより、AFの被覆除去部分以外は、うまく放熱できる。AFの被覆除去部分に関しても、空気層は0.1ミリぐらいである。空気の熱伝導が悪いとはいえ、AFの1センチほどの部分が致命的なほど加熱されることはないだろうとの判断だ。
アルミで覆うと言っても、これまで通りのアルミパイプでは、段差ができてAFの被覆あり部分がヒートシンクに密着しなくなる。だから、ミゾを彫って光ファイバーをハメるのが良いだろう。
AFは、もちろん巻き取り収納である。しかしこれは、長いからというだけの理由ではない。ファイバーレーザーがハイパワー化する過程で発見された、重要な性質が絡んでいる。
それは、太いコアを使用しても、ファイバーを適切な曲率で曲げることにより、シングルモードで発振可能だということだ。
太さ10μというコアは、1μ帯レーザーをシングルモード発振させるには太過ぎる。しかし、コアを細くすれば石英ファイバーの熱破壊限界に引っ掛かって、出力を上げられない。このジレンマを解決するのが、適切な曲率。
構想では、3巻きで約1メートルになる楕円形に収める。AFは8メートルなので、24巻き前後になる。太さ0.25ミリとして、6ミリ幅ぐらいになる。これを巻き付けるために、モナカ合わせにするヒートシンクの片割れを、1センチ幅に渡って0.2〜0.3ミリ掘り下げる。そのような加工は困難なので、エッチングする予定だ。
まず、AFの一端にPFを融着する。その融着点が↑写真の(A)に来るよう、光ファイバーをミゾにハメる。そして、動かないようテープで仮固定。
モナカ合わせして、0.25ミリ前後の隙間が出来るように調整(モナカを固定するネジを僅かに緩めるという構想)し、AFを23周巻き付ける。そして、もう一端の融着点が↑写真の(B)の範囲に収まりそうな位置でAFを切断。融着を行なう。
融着はやり直しがあるため、成功するまでは融着点の位置が確定しない。そのため、後から融着する部分は、ある程度ズレても大丈夫なようにヒートシンクに冗長部を設ける。
融着が何度も失敗して(B)の範囲に融着部が収まらなくなったら、やむを得ずAFを1周ほどいて作業する。別に1周短くなったとしても、レーザー銃の性能には殆ど影響しないはず。
written by higashino [ファイバーレーザー] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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