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2006年7月12日(水) 17:28
最近の東京は梅雨も明けておらず天気いまいちなのに暑い。半導体レーザーを扱う気分になれない。
やっぱり夏場はパルスか?となれば必須なのが高圧コンデンサーの充電だ。しかしこれ意外に奥が深い。半導体レーザーではいかに高効率で大容量の定電流電源を作るかに腐心した。コンデンサーの充電も似ている。高効率や大容量(高速)充電を考え出すと、一筋縄では行かない。
YAGだけでなくコイルガンやレールガンまで含めると、高圧・大容量のコンデンサーを充電しているサイトは大容量定電流源作ってるサイトより遙かに多い。だから情報もそれだけ多いのだが、これがなかなか参考に出来ない。
というのも、殆どのサイトが充電効率を考えていないのだ。
充電済みのコンデンサーに蓄えられた電荷を、いかに効率よくレーザーや運動エネルギーに変換するか?それはみんな気にしている。ところが、コンデンサーをいかに効率良く充電するか?に関しては無頓着なのである。AC電源ひも付きで動かしているのが大きな理由だろう。外部電源使う場合は充電効率をそう気にしなくても良い。
だが、バッテリー駆動の場合、充電効率は非常に重要である。
LDの定電流電源でも、効率を気にしなければ自由度があるが、バッテリー駆動だと突然効率が大問題と化す。パルスの世界も同様だろう。
一般の電子機器では突入電流が問題になる。回路に存在するコンデンサー等に充電するため、電源を入れた瞬間だけ大電流が流れてしまうのだ。しかし、大容量コンデンサーの充電となると桁違いに大問題だ。それこそバッテリーをショートしたに等しい状態になってしまう。内部抵抗の大きな電気二重槽コンデンサーを除けば、電源直結でコンデンサーを充電することは出来ない。
そこで、コンデンサーと直列に電流制限抵抗を入れて充電するのが一般的のようだ。
まさに、LD電源における定電圧+電流制限抵抗の世界である。お手軽かつ確実に動作する。だがLD電源と同様に、抵抗で熱となって浪費される電力も確実に発生する。効率が悪い。
しかもコンデンサー充電では更に条件が悪い。コンデンサーに充電する場合、最初は電圧ゼロで充電が進むにつれて少しずつ電圧が上昇する。つまり、抵抗に加わる電圧は最初が最大で、充電が進むに従って小さくなる。これは、流れる電流が徐々に減少することを意味する。だから、電源の容量をフルに生かせない。電源容量に比べて充電時間が長くなってしまう。
そこで、何らかの定電流回路を使って、コンデンサーの充電電流を一定にキープする手法が考えられる。
左図ではわざと充電用電源を描いていない。高圧トランジスターを利用したコンデンサー放電回路になっている。感電死の危険があるコンデンサーを安全に放電させる場合も充電の逆だから似ている。抵抗を入れて放電したのでは放電時間が長くなってしまう。
定電流回路で放電すれば放電時間を短縮出来る。定電流回路は電圧が低い場合はロスが大きいが、高電圧では効率が良い。
ところが、数十ボルト程度での定電流回路は作り易いのだが、更に電圧が高くなるとまた困る。
トランジスターの耐圧は最高でせいぜい800Vである。しかも、DCの場合は流せる電流が小さくなる。定格一杯では全く流せなくなる。耐圧800Vのトランジスターでは800Vのコンデンサーは放電出来ない。せいぜい400〜500Vまでしか実用にならない。
だから、350〜400Vが一般的な写真用フラッシュでは使えるが、限界のある手法でもある。もっとも、それ以上の電圧では抵抗入れて放電し、ある程度電圧が下がったところで定電流回路に切り替えれば良い。
肝心の充電だが、単純な電流制限抵抗に比べれば短時間で充電可能だ。しかし、効率にはやはり限界がある。定電流回路は基本的に、電源電圧と負荷電位の差に相当する部分がロスとなる。電源電圧が一定だと、付加電位すなわちコンデンサーの電圧がゼロの初期状態では非常に非効率である。コンデンサーの電圧が上がって電源電圧との差が小さくなればなるほど効率が上がる。
だとすれば、電源電圧を可変にすれば良いのでは?
バッテリー駆動の場合、低い電圧を昇圧して使う。電源はDC−DCコンバーターである。出力電圧をコンデンサーの電圧同様に、最初は低く徐々に高くして行く。電流は逆に最初が大きく徐々に小さくし、消費ワット数を一定に保つ。バッテリーの消費電流も一定に保つ。そのような電源回路であれば非常に高い効率でしかも短時間で充電出来るのではないか?
コンデンサーの充電はありふれた課題なので、誰かが既にそんな電源回路を作っているのではないか?
そう予想してネット検索すると、恐るべきモノを発見した。上記の複雑な制御を行う専用のICである。発売から半年も経っていない最新鋭の製品だ。データシートはまだ英語のものしかない → LT3750
自分に言わせればこのICは軍事物資以外の何物でもない。パルスレーザーや電磁投射兵器をバッテリーで動かすために作られたとしか思えない(大汗)
電源は直流3〜24Vと広い。バッテリーの電圧が高くなるほど充電時間が短縮され充電効率も高くなるが、出力電圧等の機能には変化がないという扱い易さである。早い話が3〜24VのバッテリーやATX電源など何でもつながるのである。普通の方法では充電効率50%を越えるのは難しいコンデンサーの充電を、80〜90%以上の効率で行ってしまう。しかも充電時間は可能な限りの最短で。
LD駆動で言えば定電流機能がビルトインされたDC−DCコンバーターに相当するような最高の品である。
出力電圧は最大1000Vまで可能で可変。
ただしこれはあくまで制御用ICであり、実際の充電回路に仕立てるためにはトランスやFET等の外付けパーツを自前で用意し基板を組まねばならない。
written by higashino [パルスレーザー] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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