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2006年8月26日(土) 08:44

出直し

 既存品改造なのに電源開発は手間取っている。しかし以前も書いたように電源こそが自作のキモである。フラッシュ励起パルスYAGを発振させること自体は難しくないはず。自分が中断しているレーザー砲とは異なり、既に複数の成功サイトが公開されている (個人でLD励起の連続出力YAGの発振を外部ミラー型で成功させたサイトが既に公開されていればURL教えて下さい、マジで参考にしたいです)。いや、熱線銃で既に成功しているが、光出力25ワットもブチ込んでYAG基本波出力75ミリワットしか出なかったんだよ・・・改善方法が発見出来ず自分では失敗と見なしている。

 だから、パルスYAGではとにかく携帯電源を開発出来るかどうかが山場なのだ。熱線銃にしても製作に取り掛かったのは携帯電源を製作する目処が付いた後だった。
 レーザーは発熱でサイズが制約される。充分な放熱を行えるサイズ・重量より無理に小さくすれば信頼性・寿命が犠牲となる。携帯にこだわればサイズ・重量は制約される。その制約下でベストな設計を狙うのが醍醐味である。事情は電源側も同じ。電源にも変換効率という概念があり、無駄になったエネルギーは熱に変わる。やはり充分な放熱を行える適切なサイズ・重量があり、無理に小さく出来ない。

 スイッチング電源の場合は更に特殊事情がある。技術が同じなら周波数を上げるほど小さく出来るが、一方で変換効率は低下する。スイッチングロスがあるため、単位時間のスイッチ回数が増えればロスが増えるのだ。
 電源の信頼性を確保し充分な熱対策を行った上での最高性能を狙えば、サイズ・重量・性能の落とし所はどこになるか?
 それを100ワット級と判断し、出力100ワット以上を目標に秋月インバーターをベースにすると決めた。何でもいいから製作出来れば良いのではなく、制約下でベストを追求する努力こそが、やってて楽しい。

 このところ電源いじりばかりで少し疲れたので、ちょっと記念撮影。実験用の超大型オイルコンデンサーだ。
 隣の544ジュール電解が小さく見える。もっとも、デカブツ嫌いな自分の言う超大型だから実際は高さ30センチほどだ。重さもガラス机に置ける程度・・・だが5キロもある。携帯レーザー機器に使えないこともないが余り快適なものにならないだろうから、室内実験用メインだ。
 ゼネラル・アトミックスというその筋では有名なメーカーの新品で、容量は約800ジュールもある。巨大電解以上ながら単位重量あたりではさすがに及ばない。これ以上の怪物も調達してあるので、いずれ紹介出来るだろう。
 ちなみに価格だが、544ジュール電解とほぼ同じだった。オイルコンデンサーは意外に安い。

 フラッシュランプは一般に、発光時間が長いほど入力ジュールを大きく出来る。ワットよりジュール優先したい場合は、大容量電解コンデンサーでだらだら電流を送るのが有効である。これに対し、増幅器として使う場合はジュール数を確保した上で瞬発力が欲しくなる。そんな場合はオイルコンデンサーが最強。
 しかし、重量あたりジュールは電解より小さいため、使い所を間違えると効果が出ない。単なるバラストになってしまう。

 ともあれ、壊れたFETを交換する。テスターで調べると、2つのうち1つだけ案の定ソース・ドレイン間の抵抗値がゼロになっている。
 電流検出抵抗も10Ωセメントを直列する。スイッチ入れると2.2Vほど電位差がある。つまり0.22Aほど流れている。だが、何だかおかしい。
 出力負荷を使い捨てカメラのメインコンデンサーだけにしてみる。何度も散々実験したように、これだとパーツに負荷が掛かる前に充電が完了する。ATX電源でもシャットダウンせず充電が完了する。入力電流が0.22Aしか無くても、短時間で充電出来るはず。
 ところが、全く電圧が上がらない。

 前提として、U1−1端子は壊れていない。
 電流検出抵抗の基準を決める分圧抵抗を調整すると、しっかり出力がON/OFFする。電流検出結果のオペアンプ出力をU1−1に引き込んでいるダイオードを切断してみる。これで、U1−1には電圧検出結果のみが接続される。そっちの分圧抵抗は115V近辺に設定されたままだ。テスターで抵抗値を計測しても特に壊れちゃいない。
 やっぱり駄目だ。 

 10Ωセメントを外し、以前のように10ミリΩだけにしてみる。
 秋月インバーターのスイッチを一瞬だけ入れる。危惧した通り一瞬で電流計の針が10Aを振り切った。充分あり得る事態だと思っていたので、最初から一挙動でスイッチを切った。どこも燃えずに済んだが、コンデンサーは全く充電されていない。インバーターのスイッチを入れなければ電流は流れないので、交換したFETはショートしていない。
 過電流でもU1には負担とならないはずだし、壊れている可能性が高いのはトランスだ。基板のパターンを燃やしFETを破壊するほどの電流が流れたせいで、殺られたかもしれない。

 今となってはどのパーツがどのタイミングで壊れたのか確定出来ない。ある程度の推定は可能だが、ここまで現象が錯綜するとやり直すのが一番早い。

1)壊れたパーツを交換するか最悪インバーター買い直して、使い捨てカメラのコンデンサーを正常に充電出来る状態に戻す。
2)コンデンサーに放電器を接続し電流検出抵抗は10Ωにし、過電流が構造的に流れない試験環境を作る。
3)入力電流制限がきちんと働くことを確認し、働かない場合は修正して完成させる。
4)耐久試験。

 今回の敗因は、2)に気付くのが遅れたこと。パーツを壊す心配無しに試験を行う環境をどうやって作れば良いか、すぐには分からなかった。ヒューズがあっさり飛んだ時点で頭に浮かばないようでは馬鹿過ぎ (;_;)

 どうせトランスを交換するなら、壊れた方をバラして配線を調べようと思い付く。
 表面は2次コイルが20か21回巻かれている。配線はかなり太く、巻きは一層だけ。

 写真は20回ほど巻かれた部分を解いて切り去った後。
 出力ピン中央から巻きが開始され、短くカットされた第3の出力ピンに接続されている。

 妙なことに、絶縁用フィルムの下層に、金属箔が巻かれているのが見える。トランスのくせに電磁波シールドが入っているのか?

 想像もしなかった事実。
 何と、このトランスの一次巻き線は銅箔だった!

 銅線ではなく銅箔が巻かれているのだ。ちゃんと絶縁フィルムとサンドイッチになっていて、トランスではなくコンデンサーをバラしてる気分。
 予想通り、一次側はセンター・タップ型になっている。ベタな銅箔なので、センター・タップで問題となる偏磁を心配せずに済む。

 既にこの時点で絶望を覚える。と言うのも、とてもじゃないがこのトランスは過電流で焼けるようなタマじゃない!
 銅箔は厚く、50アンペアぐらい流れてもコアが飽和こそすれ配線は何ともないだろう。それほど凄い作りになっている。

 トランスが壊れていないとすれば、どこが壊れたんだ?

 一次巻き線の更に下、最下層は再び二次巻き線となっている。
 今度は短くカットされた第3の出力ピンから巻きが開始され、端の出力ピンに接続されている。
 つまり、これまた残念なことに、短くカットされた第3の出力ピンはセンター・タップだった。このピンを使っても出力電圧は半分になってしまう。

 分解した結論は、既に最大巻き数比で使用されており、使用ピンを変えても出力電圧をアップ出来ないという身も蓋もないものだった (;_;)

 こうなるとU1のトランス制御ピンが壊れたと考えるしかない。
 だが、KA3525Aを交換してみたが現象は改善しない。主要パーツは全部交換したのに、出力電圧が数ボルトしかないまま入力電流だけは振り切れる。復活しない。

written by higashino [パルスレーザー] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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