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2010年1月3日(日) 18:06
以前、レーザーで月を照らせるかどうか検討したが、ちょっと苦しいだろうという結論にしかならなかった。実際に検討すると、月は余りに遠い。しかし、強力なレーザー銃を作ろうと考え始めると何とかならないだろうかとどうしても考えてしまう。
40年前でも、レーザーを使って月までの距離が測定されているのだ。40年も経っているのだから、個人の趣味で同じ事が出来るぐらい科学は進歩していないのだろうか?
月を照らすのは無理でも、月までの距離は測定出来ないだろうか?
ヨドバシに行くといつも気になる望遠鏡がある。ドブソニアンというタイプで、とにかく安上がりに大口径の望遠鏡を手にしたいという場合に良く自作される。置いてあるのは口径30センチで12万8千円。移動の手間を考えても、使える光学系はこれが限度だと考えねばなるまい。作るだけなら50センチでも現実的だが、運搬が非現実的だ。
口径30センチでレーザーを照射。アポロが月面に置いたコーナーキューブ・プリズムで反射したレーザーもこの口径30センチで受光し、仮に例の601Aで検出してみるとする。
たぶんこんなものでは全然追い付かないのだが、問題はどの程度追い付かないか?である。
受光部の性能向上は十分に可能であり、必要な改善の度合いで実現可能性も測れるだろう。
月面のコーナーキューブ・プリズムもせいぜい30センチ程度しかない。地球からどんなに平行度の高いビームを送り出したとしても、反射後は回折により30センチなりのビーム収束度にしかならない。つまり、どうしてもレーザーの出力が必要だし受光素子の感度も必要だ。
使えるレーザーとしてはYAG基本波かSHGしてのグリーンだろう。出力的には基本波に限るが、グリーン化すれば収束度を倍に出来てエネルギー密度は4倍になる。反射後も同様だ。CWは論外でありパルスレーザーの使用は絶対なのでSHG変換効率はそれなりに高く、恐らくグリーン化した方が有利である。
大気のゆらぎという大問題もあるので、その意味でもCWはアウト。大気の動きが無視出来るほど短いパルスを送り出さねば、月面には収束しない。
必要なのは一発限りの威力だから、古典的なキセノンフラッシュ励起が有利だろう。アマチュアの自作の場合、ハイパワーなものを一番作り易い。効率の悪さを投入ジュール力ずくで補う。冷却に時間が掛かるのもそう問題ではない。
ここまで考えただけで頭が痛い。一体どれほど予算掛かるんだ?(汗)
たかが月までの距離を測定しようって道楽のために?
天文学はアマチュアが貢献出来る部分大なる分野だが、月までの距離なんて貢献もへったくれもないだろう?
いや、そもそも実用性など考えたらレーザー銃なんて作れないだろ・・・
自作レーザーで回折限界まで収束できるビームなんて、そうそう出せっこない。口径300ミリで38万キロ離れた月面なら、直径1キロメートルで照らせれば上出来(かなり理想に近い)。直径30センチのコーナーキューブ・プリズムには1000万分の1程度のエネルギーが到達する。レーザービームは中心に近いほどエネルギー密度が高いので、いかに正確に月面を狙うか?が案外馬鹿にならない。
ちょっと待て!
直径1キロって月の直径に比べたら針先だぞ。そんなに正確にビームを照射出来るのか?
既に状況は絶望的な気がするが、ヒットしたとしてみよう。ドブソニアンを固定しておいたとして、月がその直径だけ動くのに2分程度。レーザーの発射タイミングを0.01秒単位で合わせりゃいい!(そろそろヤケクソ)
えっと、レーザーが月に到達するまで約1.3秒でしょ?
ちゃんと「狙い越し」が必要だし正確な狙い越しをするには月までの距離が分かっていないと。
やはり赤道儀に載せて追尾しないと無理。
そんなもの気合いで何とかしろ!
そもそも実際に見えている月が1.3秒過去の位置ってことも分かってますよね?
うっ・・・既に月までの距離測定ではなく月面攻撃してる気分になって来たわ。気にしない気にしない・・・気にしたら負けだ。
月面から戻って来たのを30センチで受光出来るのも、やはり1000万分の1程度。結局、発射したエネルギーの100兆分の1ぐらいが戻って来る訳だ(非常に運が良ければ)。
601Aでノイズから分離出来るには、光出力数十マイクロワットが必要だ。1マイクロ秒間連続して受光する必要があるとすれば、必要なエネルギーは1兆分の数十ジュール。すなわち、パルスレーザー一発で数千ジュール出さねばならない。これはかなり絶望的である。
グリーンでパルス1ジュール出せれば、相当に凄い。だが、あちこち無理して耐久性に目を瞑れば、1ジュールは可能と思われる。
だとすれば、受光感度を4桁高めれば良い。
無茶苦茶キツいが、実現可能性はあるかもしれない。TPS601Aは電子工作では圧倒的に高性能で扱い易いが、マジに微光検出やるならたぶん論外に低性能だろう。そういう用途の製品じゃないのだから。アマチュアでも製作可能な超高感度の受光素子を研究するのが早道じゃないか?
恐らく、ペルチェ冷却を使うだけでもかなりの性能向上が見込めるだろう。一般にはペルチェ冷却は大変だが、強力なレーザー発振機を作るのに比べればむしろ楽ではないか?
最後は大気のゆらぎがやはり立ちはだかりそうだ。短パルスでも大気の密度ムラによって僅かに曲げられるしどっちに曲げられるかは運次第。とても月面のコーナーキューブ・プリズムに命中させられるとは思えない。そう考えると、この野望は受光センサーの研究から始めるのが正しい戦略と思われる。
製作可能なセンサーの性能から逆算して、実現可能性や可能なら必要な装置の見積もりも出せるだろう。
ところで、ドラクエ9のすれ違い通信は現在1266人(プラス60人)。
東京駅の大群衆とかで伸びて、現地の分は半分程度。人間は多かったがすれ違い人口は予想より少なかった。
written by higashino [パルスレーザー] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(3)] [TB(0)]
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『残念ですが』
絶望的でしょうなぁ。。
60年前にはアメリカは原爆を作ってたわけだしねぇ…
でも、期待してますw
何かそれなりの成果を上げてくれるでしょう!
written by ジューサー
『タイトルなし』
アマチュア無線でEME通信が可能なのですから、光でも…
written by GAMA
『3.5メートル』
検索してみると、本物はもちろん天文台を使い、直径3.5メートル鏡のようです。しかし大気の揺らぎがあって、やはり地上からだとビームは1秒角までしか絞れないとのこと。
だから、月面ではビームは直径2キロに広がる。
反射したビームは、8秒角で広がるとか。コーナーキューブ・プリズムが3〜4センチしかなくてそれを100個並べてある方式なので、回折の影響が強く出るのでしょう。
使われているのは、想像通りパルス・グリーンレーザーかと。
エネルギー密度的には想定の範囲内なので、受光素子次第で何とかなるかもしれません。ただ、それなりのカネは間違いなく掛かるので、どうしても「やることの意味」を考えてしまいます。
レーザー銃はそれ自体に意味はないものの、プロが作らない品という点で面白い。でも、月面距離測定はプロがバリバリやってるネタです。
written by IDK