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2008年8月26日(火) 17:56
非接触でエネルギーを送るため、レーザーが検討されている。だが、うちのブログの読者なら「はぁ?」とすぐ問題に気付くだろう。
問題とは、レーザーの発振効率だ。
例えば、宇宙太陽光発電衛星。これも、遠未来の理想宇宙エレベーターとは最高に相性が良い。
静止軌道に発電衛星を展開し、発生した電力は宇宙エレベーターの超伝導電線で地球に送ればいいのである。もちろん電力の一部は宇宙エレベーター自身で使用する。システムとして完璧もいいところだ。500年後の人類が羨ましい。
理想宇宙エレベーターを前提としない場合、発電衛星もやはりエネルギーを非接触で送らねばならない。レーザーも考えられているがマイクロウェーブが有力だ。だが、事情はまるで異なる。
発電衛星の場合、受信部は地上に設置される。十分な大きさが取れるので、狙いが少々不正確でも構わないしある程度拡散しても構わない。ところが、宇宙エレベーターではエレベーターにローラーでぴったりと抱きついている輸送機関が受信部となる。重量の問題から受信部は最小限にせねばならないし、少しでも狙いが逸れればCNTリボンにダメージを与えるかもしれない。
数万キロ先にそんな微調整しつつエネルギーを送るならレーザーしか選択の余地がない。
ところが、現在のレーザーは発振効率が非常に悪い。駆動のために投入したエネルギーのごく一部しかレーザーとして放出出来ない。更に、受信側でもレーザーの光エネルギーのどれだけの割合を利用出来るのか?
宇宙エレベーターはロケットに対して圧倒的な燃費の良さがメリットである。ところが、レーザーによる非接触送信となるとレーザー発生の非効率さや受信部の変換効率がモロに燃費を跳ね上げる。一気に優位性が減るし下手なレーザー使ったりしたらロケットより燃費が悪くなってもおかしくない。
宇宙エレベーターの技術的ネックは実はCNT製造技術だけではない。レーザー技術もまた重大な鍵を握っているのである。
建設コスト・初期投資。それを減らそうとすれば燃費が悪化する。宇宙エレベーターのジレンマである。
残念ながら、生きているうちに宇宙旅行は出来そうにない。せめてリニアモーターカーには乗れるようJR東海を応援しよう。
written by higashino [科学コラム] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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