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2014年5月9日(金) 21:59
遂に日本でも3Dプリンター使って拳銃作った奴が現れた!と派手にニュースになっている。
しかし、それほど騒ぐような問題だろうか?
3Dプリンターは革命扱いされているが、自分は大して重視していない。確かに試作パーツを手軽に作れるなど便利な部分はあるものの、革命ではなく改良レベルでしかないと思う。世の中を変えるようなものではない。
ドラえもんの秘密道具なら、そっくりそのまま何でもコピーして作れるかもしれない。しかし現実の3Dプリンターには、素材の問題が付きまとう。積層して形成できる素材でなければ、作り出せないのだ。もちろん単純なパーツを後付するぐらいは容認できるとしても・・・
・複数種類の素材が複雑に絡み合った製品
・強度が必要な製品
などは作れない。
拳銃は通常、幾つかのバネを必要とするが、それ以外は単一素材で作成可能である。また、火薬銃には強度が必要だが、プラスチックでも分厚くすれば何とか実用的な強度を得られる。要するに、火薬銃は単純な素材で製作できるから、3Dプリンターで作ることが可能なのだ。
一方で、例えばコイルガンは3Dプリンターでは製作できない。導電物質と絶縁物質を複雑に組み合わせるため、プリントしようにも素材を適切に供給できない。複数の物質を扱える3Dプリンターだって普及するかもしれないが、更に放電回路・電子回路も必要だ。個々のパーツを製作する省力化にはなるだろうが、そういうのは前述の通り「改良」であって「革命」ではない。
革新的な技術には、素材の製法に革命が伴う場合も多い。素材を用意するだけでなく、特別な手法で製品にしないと所期の機能・強度・性能が発揮できない。火薬銃は戦国時代の日本でも製作できた原始的な品だから、製作できる。
いや、3Dプリンターだって進化するよ、って?
じゃあ、ファイバーレーザー銃を作ってみせてよ。
3Dプリンターで拳銃作成というのは、短いフレーズで衝撃的なのでマスコミが喜んで扱っているだけ。実態はといえば、手製の銃を作る手間が「改良」されたに過ぎない。だから、3Dプリンターの購入を規制したところで、大した効果は無い。デメリットの方が遥かにでかいのがオチ。
今回逮捕された容疑者は、動画公開していたが空砲だし、実包も押収されていない。つまり、実際の殺傷に使用可能な状態だったわけですらない。実包を用意したのは、威力調査を行った警察である。
written by higashino [科学コラム] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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